4/24 私が働くコロナ病棟の現状と、患者が体験していること 

前回、4/14 私が働くコロナ病棟の現状 の記事を書きました。

またさらに状況は悪化して、病床は逼迫しているため、現在の状況を書いていきます。

また、ニュースや記事では、”医療現場がどれほど大変な状況か”に焦点があてられるため、今日はなぜか忘れられがちな”患者がどれほど大変か”という視点で、後半を書いていきたいと思います。

私が働くコロナ病棟の現状

まず、私の働くコロナ病棟の現状を、看護師である私目線で書いていきます。

大阪では新型コロナウイルスの重傷者用のベッド使用率が100%となり、私の働く軽症・中等症病棟でも重傷者を受け入れ始めました。受け入れ始めたというよりかは、私の病棟で重症化した患者さんの行き先がないためそのまま見ている状態で、その数は増えています。

第4波では、私たち医療者が、入院時はきっと良くなるだろうと思っていた患者がどんどん重症化していきます。その患者にいかに理解を促しながらも、不安を少しでも軽減させてあげられるかは、難しいけど重要な仕事だと思っています。

重症患者の管理を行うには、多くの知識と経験が必要です。一般病棟には、重症管理の経験をしたことがあるスタッフは少ないです。

スタッフの経験や、設備等の問題もあり、ICU以外で重症患者を観ることにはそれなりのリスクがありますが、患者に不利益が出ないよう日々みんな工夫しています。

今の病棟は人間関係が本当によくて、この状況でも最善を尽くせるよう多職種間でお互いに相談しながら、みんな頑張っています。

病床数を増やしたり、重症管理が出来るスタッフを派遣してもらったり、重症部門のスタッフと連携をとりながら、なんとか病棟を回しています。

ただ、自分の能力を超えることを日々行うことはすごくプレッシャーを感じるし、怖いことです。でもそんなこと言っていられないので責任感を持ってみんな患者を受け持っています。

私も救急病棟の経験はあってもICUの経験がないため、正直超急性期の重症患者の管理に自信は持てませんが、都度勉強したり相談しながら、患者に不利益がないよう気を張りながら仕事をします。

患者目線で考える

私たち医療者の目線からの現状について書きましたが、ここからは患者目線から考えます。

なぜかいつも”大変な医療者”にフォーカスがあてられがちですが、当たり前ですが、身体的・精神的に一番しんどいのは患者です。

まず、面会不可であるコロナ病棟に入院するということは、一番しんどいときに家族を頼れず、そして二度と会えずに死ぬかもしれないという恐怖と戦うことです。

重症化するスピードが非常に速いため、状況を十分に受け入れる期間もなく、訳がわからないまま悪くなります。そういうときの患者さんは本当に絶望的な顔をしています。

コロナ患者の場合、挿管(口からチューブを入れる)して呼吸器を装着するために鎮静する(寝かせる)直前まで意識がはっきりしている場合が多いです。若年者の重症化が増えた今はとくにそうです。

意識があるために、どんどん酸素投与の量が増えていくことが自分で分かり、酸素15Lという、呼吸器装着までの酸素の上限に近づいていくのが自分で分かります。呼吸器装着が決まれば、家族にも会えないまま鎮静剤で寝かされて、自分がそのまま二度と起きないかもしれないと、認識しながら鎮静剤を投与されます。

もし治療が成功して目を覚ますことが出来ても、一緒に感染した家族がそのときに生きているかどうかわからないのです。若年の重症化が増えた今、親子で重症化し、最悪亡くなってしまうケースも多いです。

想像してみてください。めちゃくちゃ怖いです。

ただでさえ身体的にしんどいのに、精神的に追い込まれます。

患者がフォーカスされないのはなぜか

私が個人的に考えていることですが、

そもそも日本の社会って、病気になることに関する自己責任論をもつ人が多いような気がします。十分な感染対策をとっていないから自業自得だとか、生活習慣が悪かったとか。

いくら健康に気を遣って、感染対策をしていても100%感染しないなんてことはありませんが、

世間一般の人にとって、「自分の感染リスクを背負ってでも患者を助けるヒーロー」的に、医療者に焦点を当てる方が、人々の共感を呼べるのかもしれません。

いつも”大変な医療者”にフォーカスがあてられがちで、患者の苦悩に目が向かないことも、世間の人たちがいまいちコロナ重症化をイメージ出来ない一つの要因なのかなと思ったりします。

自分事にとらえられないからこそ、自分で調べたり考えたりするのを辞めてしまい、政府が緊急事態宣言を出したから自粛し、終わったから自粛を辞める。等と、言われるがままの感染対策だけにとらわれる人も多いのかなと思ったりします。

医療者の中には、自分がしんどい立場にいるからこそ、「自粛疲れでちゃんと感染対策しないからこうなる」と憤りを抱えるひとが一部いるのも確かですが、いろんな価値観があるので、私にそうゆう気持ちは全くありません。ただ、健康についての自分の行動に責任を持てるように、自分でちゃんと考えて行動を選択することは大切だと思っています。

ありがたいことに、私たち医療者は日々いろんな人から「感染リスクを背負ってまで、日本の医療を支えてくれてありがとう」等と感謝してもらったり、「本当に大変ですね。」と労ってもらえることがすごく多いです。

けど、患者に目を向ける機会が、なぜか少ないと思ったので、少しでも自分事として考えるためにも今日は患者目線からも書いてみました。(自分が患者になったことはないのであくまで日々患者を近くで見て想像することにすぎませんが)

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました!

※追記 5/7に最新の状況もアップしました→5/5 私が働くコロナ病棟の現状と、病院外の現状

コメント

  1. […] 前回の記事:4/24 私が働くコロナ病棟の現状  […]

  2. […] 4/24 私が働くコロナ病棟の現状  […]

  3. […] 4/24 私が働くコロナ病棟の現状と、患者が体験していること […]

  4. […] 4/24 私が働くコロナ病棟の現状と、患者が体験していること  […]

  5. […] ・4/24 私が働くコロナ病棟の現状と、患者が体験していること  […]

タイトルとURLをコピーしました